勧善懲悪は痛快だけれども、現実の世界に勧善懲悪なんてないと思う。宮台真司氏もよくラジオで話されているが、僕らが子供のころには、悪が悪になる理由が、きちんと描かれた子供番組やドラマが多かった。1970年代に高度成長になり、子供が一人でTV見るようになって、円谷プロはウルトラマンで、悪が悪になる理由を描くことができなくなったそうだ。そして、その頃、ウルトラマンに変って、勧善懲悪の仮面ライダーが子供達のヒーローになった。そんな仮面ライダーだが、現在はイケメンライダーファンのお母さんも一緒に見るようになって、ドラマが複雑になっているそうである。
僕が小学校の頃、夢中になったアメリカのTVドラマ「V」も、敵である宇宙人のビジター中に、協力者がいたり、人間と共存していこうという一派がいたりして複雑だった。子供だった僕は、漠然とだけど敵だと思っている人の中にも、いい人がいること。味方だと思っている人の中に裏切り者がいること。敵である宇宙人の中にも、家族がいたり、権力を巡って派閥争いがあって、そこには複雑な関係があるということを知った。だからこそ面白かったし、同時期に放映されていたサンライズの作るロボットアニメも同じように複雑な人間関係が描かれていた。Vで重要なキーパーソンとなるのは、地球人と宇宙人の間に生まれたスターチャイルドだ。
ネットでは、極端に右や左に寄っている人が、誰が悪者なのかを必死で争っている。そういう人の頭の中身は、世界は勧善懲悪なのだろう。自分とは異なる人々を理解するのは難しいことだと思う。しかし、理解できなくても知ろうとする努力がなければ、人々が平和に共存するなんて夢のまた夢だろう。未知であるものに、人は恐怖を感じる。そして恐怖が差別や偏見を生む。そうしたことが増幅していって、憎しみが生まれ、多くの人の血が流れる。今、自分に何ができるかを考えると、何もない。でも、自分の生きる世界が、とても大事な分岐点にいることはわかる。一番大切なのは、今まで知らなかったことを知ろうとすること。そして、悪を生み出す根源は何なのか、それを問い直すことだろう。

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