MIRACLE

RUDYを紹介してくれた僕のお友達、デイブさんのオススメ第3弾は、この『ミラクル』という映画。

僕の好みのスポーツものというのは、トップ選手を描いたものじゃなく、メインが(スポーツ競技上の)脇役だったり裏方だったりするものなのだが、このミラクルは全米ホッケーチームを描いた作品。

しかし、全米ホッケーチームといってもチームのメンバーはトップ選手ではないというのがミソ。
1980年、レークプラシッドオリンピックで歴史的な勝利をおさめたアメリカのアイスホッケーチームの話が元になっている。
ヘッド・コーチHerb Brooks率いる学生中心のアマチュアチームによるアメリカ代表がソ連代表を破ったこの試合は、氷上の奇跡(Miracle on Ice)と呼ばれている。

アイスホッケーは北米が一番強いなんて勝手に思っていたから、そういうことを頭の中で修正するのが大変だったけど、モスクワオリンピック前のオリンピックということで、ソ連のアフガニスタン侵攻など、その当時の様々な事件も描かれており勉強になる。歴史がアメリカ側の視点で描かれているのに文句をつけても仕方がない。最後はUSAの嵐だし、そういう映画だから。

映画は、この氷上の奇跡を忠実に再現しようとしている。役者の演技、映像、カット割、音楽、脚本、スポーツ描写など、さすがはブエナビスタというべき感じ。スポーツものは熟れている。

この映画の前半のクライマックスは時間でいうと45分過ぎ、46分から48分くらいのところにある。この映画の問題点は後半のクライマックスが前半のクライマックスほどの感動を与えないことである。

これは前半が人間ドラマ中心に進んでゆくのに対し、後半はゲームの描写中心だからである。奇跡を忠実に再現しようとするあまり、映画としては尺が長過ぎになっている。この映画、全部で136分あるのだが、正直最後の試合のシーンはまるまる30分くらい削ってもよい気がする。ここらへんがスポーツものをドラマにするところの難しさなんだけど、正直映画を見る人は人間ドラマをみたいのであって、ゲームのプレイ描写で感動しようなんてことは思わない。ゲームで感動しようと思うなら、実際のプレーを見た方がいいからだ。半永遠と続く試合シーンは思い切って短くまとめてくれれば、すごくテンポがよかったとおもうのだけど残念。

1980年の出来事だから、実際の映像も残っているし、その当時の映像やCMのシーンを織り交ぜていく丁寧な作りには好感がもてるが、髪型、服装などを当時の流行に合わせているのに、なぜか、ソ連チームがロシア人にみえない。日本人の僕が見ても、どうみても西ヨーロッパ系の俳優が演じているのが分かってしまう。ロシア系アメリカ人なんて沢山いそうなものなのに、ホッケーも出来るロシア系、というかスラブ系アメリカ人は集められなかったんだろう。ソ連チームのメインキャラクターが、黒髪で鼻のかたちも、どうみてもロシア人にみえないのは残念。ディティールにこだわるなら、そこはちゃんとしてほしかったけど、そこがやはりディズニーなのかも。

僕がRUDYが最高っていってるのは、実話を元しながらも、適度に創作や演出を交えていて、ちゃんと映画の最後で一番のクライマックスが来るように構成されている点なのだ。

ところで、こうしたスポーツ映画では、いつも女性は主人公の夢をひっぱる立場になってしまうんだけど、この映画ではオールドルーキー同様、妻や家族っていうものにもちゃんと決着つけてます。

ただ、男同士、仲間内だけで盛り上がって、ホントいやらしいわと女性は思うでしょう。基本スポーツ映画ってそういうもん。高倉健や松田優作の出てくるヤクザ映画と一緒です。

映画としての評価はそんな感じなのですが、この映画は指揮官とはどうあるべきかということを教えてくれます。組織とは何かも教えてくれます。学生の寄せ集めが、アメリカ代表になってゆく姿はとても感動的です。時に憎まれ役を演じ、時に理不尽な要求をするHerb。しかし、それはアシスタントコーチとの連携プレイで、巧みにチームの士気を高めたり、チームワークを深くさせたりしてゆくのが、指導者にはとても参考になります。

”日本代表”を指揮する指揮官には、ぜひこの映画をみておいてもらいたい。そんな映画です。

2009/12/18(加筆・修正してあります)

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