【読書感想】テロルの決算

テロルの決算 (文春文庫)

テロルの決算 (文春文庫)

今まで読んだ本の中で一番感銘を受けたのは、沢木耕太郎の『テロルの決算』である。本作は事件が起こるまでの山口二矢と浅沼稲次郎の人生が、最後に一瞬交錯するまで平行して進行していくスタイルのルポルタージュ。

沢木耕太郎は、29歳の頃にこれを書き上げたというのだから、物書きとして絶対敵わないなと思っていて、沢木氏が持ってない自分なりの物書きとしての能力は何か今も模索している。

この本の魅力は浅沼稲次郎事件についての詳細なルポルタージュであるという点だけでなく、社会党の歴史や赤尾敏の愛国党について詳細に記述されていたり、玉川学園創立者、小原國芳の教育理念、成城事件から学園の設立、大正自由教育運動など、周辺の人物像までを、緻密に取材しまとめてある点も魅力だ。近現代史、特に1960年代という時代を知る上でも非常に勉強になり、私の政治観、思想にも影響を与えてくれた。また機会があったら読み直したいと思う。

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